デンヨーのエンジニアとして、30年以上に渡って製品開発に携わってきたある役員は言う。「デンヨー製品の進化は“こんな性能を実現して欲しい”というお客様のご要望によって支えられてきました。しかし、私たちはそこで満足することがありませんでした。もっとできるはずだ、という開発エンジニアたちの思いが、常にお客様のご要望を上回る製品を生み出してきたのです」 発電機は、パワーや耐久性のほかにも、用途によって様々な性能が求められる製品だ。建設工事などの現場で、必要に応じて発電量を調節するためには、何台もの発電機が連結して使用される。この際、常に安定した電力を生み出すためには、発電機を正確に連携させるためのソフトウェアの技術が必要となる。

デンヨーはこの技術を追求するうち「理論上は32台の並列運転が可能」という製品を作り上げてしまった。「こんな台数、一緒に使うことは滅多にありません」と、役員は笑う。しかし、それこそがデンヨーの製品開発の歴史であり、文化なのだ。 デンヨーには「技術規格書」と呼ばれる門外不出のマニュアルがある。そこには「どんな製品を開発するにせよ、製品の性能はこの基準を満たしていなければならない」という厳格なルールが記されている。

特別な用途の製品だから通常の発電機としての性能は少し劣ってもよい、という考え方も、低価格の製品を作るために性能を少し落とそう、という発想も、デンヨーは決して認めない。たとえオーバー・スペックであったとしても「技術規格書」に外れる製品をデンヨーは一切、世の中に送り出してこなかった。 「デンヨーならできるはず」というお客様の期待。その期待をさらに超えていこうとする開発エンジニアたちの思い。妥協を許さない姿勢こそが、デンヨーの製品開発の文化であり、お客様の信頼の源でもある。